やぎたちを紹介する回
しばらくブログを書いていなかったので、リハビリがてら子供に読んでいる絵本を紹介。
今回紹介するのはこの本。
絵本なので問題ないかと思いますが、以下の記事にはネタバレを含みます。
また、物語論の専門家というわけでも、絵本マニアというわけでもないので、絵本が好きなお父さんのお気持ち感想です。ご了承ください。
どういうノリなの?
「ある目的地にいくためにいわくつきの橋1をわたる」というお話です。
はしの したには、きみのわるい おおきな トロルが すんでいました。 ぐりぐりめだまは さらのよう、つきでた はなは ひかきぼう2のようでした。
うわー、わるそうですね。陰キャ系のわるさを感じます。
トロルは橋を通ろうとするヤギに誰何し、それに応えると「よし、それでは ひとのみに してやろう!」と言って食べようとしてきます。
そしてそれを、表題の通り3びきのやぎが、かわいさと知恵と暴力で押し通るお話です。
ちいさいやぎかわいい
まぁ、この3匹についてはもう、小さいヤギが最高にかわいくて好き。
よしよし、わたしはそんなお前が大好きだよ……
この、かわいらしい命乞いから、ナチュラルに仲間を売りに行く姿勢は何度読んでも笑ってしまう。
後で述べるように、おおきいやぎが反則級に強いので、全幅の信頼をおいているんでしょうけど、それにしてもこのギャップよ。
やぎ2の余裕
1番目のやぎは演技派で可愛いんですけど、2番目のやぎは演技とかしないのです。半笑いでトロルをかわします。
ちなみにこいつも「すこし まてば、おおきいやぎのがらがらどんが やってくる。ぼくより もっと おおきいよ。」といって逃げおおせるのですが、この後に起きることが楽しみで仕方ないという想いが表情に出まくってます。
個人的にこいつもめっちゃ好きです。
3びきめ
このトロル、かなり残念な奴なので、3匹目も「もっとでかいのがくる」と口から出まかせをいえば通行できそうです。
ところが、先に述べたように3匹目のヤギは反則級に強いのです。
トロルに とびかかると、つので めだまを くしざしに、ひづめで にくも ほねも こっぱみじんにして、トロルを たにがわへ つきおとしました。
童話だからと言って暴力を妥協しない。
もっというと、この3番目のがらがらどんは戦闘前にきちんと警告していて、どんな危害を加えるつもりかについて具体的に述べている点も個人的にはポイントが高いです3。(そう、目玉を串刺しにして肉も骨も踏み砕く……と。)
おわりに
いかがでしたか?
かわいい子・知恵・暴力といえば週刊ジャンプの合言葉がそんな感じ? だった気がしますが、本文24ページちょっとの絵本できっちりまとめて、3歳児でもきゃっきゃ喜べるわかりやすい話4に仕上げているのが最高です。
また、キャラが立っているところに、擬音語やセリフが多いので、読み聞かせヘタクソ民でも安心です。ちょっと声色を変えて読むだけでそれっぽくなります。
皆さんもぜひ、お子さんと一緒に目玉を串刺しにしたり、肉も骨も木っ端みじんにして谷川に突き落としてみてくださいね!
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なお橋は谷川にかかっており、迂回が困難であることが示唆されています。↩
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つきでた はなは ひかきぼうのようでした:こどもに”ひかきぼう”の説明をするのは大変でした。結局は「バーベキューで使う火ばさみのことだ」と言ったあとで、「昔はこわいカタチだった」といって画像検索の結果を見せました。↩
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単純な暴力描写ということだけでいえばさるかに合戦に軍配があります。本当に徹頭徹尾、悪意と暴力が物語を駆動していますね。騙したら騒いだから殺す。残された家族は深い悲しみに暮れ、そのまま怒りに転化。殺されたから殺す。欠席裁判で共同体の合意を取り付ける。みんなでフクロにして殺す。臼で押しつぶして殺す。↩
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さわやかに楽しめる暴力でいうと、「3びきのかわいいオオカミ」もそうですが、レンガの家をスレッジハンマーで、コンクリートの家を電気ドリルで、鋼鉄と鉄条網で武装した要塞をダイナマイトで破壊するユーモアは、少し年齢が上がらないと楽しめない気がします。↩